転職・キャリアチェンジの際、メリットも知った上で検討したい派遣やパートタイムという働き方

2019.12.23 キャリア

女性が転職をする際に考えたい派遣やパートという働き方

女性が転職を考えるとき、正社員雇用だけではなく派遣やパートを選ぶ人もいます。

しかし、派遣やパートという働き方をセカンドキャリアで選択していいものか、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

セカンドキャリアで最良の選択をするために、それぞれの働き方について知っていれば、ライフスタイルに合わせた最適な選択肢を選べるようになります。

そこで今回は、派遣・パートのメリットとデメリット、さらに派遣とパートの違いについても説明します。

働き方に派遣とパートを選ぶ女性はどのくらいいるのか?

女性の様々な働き方が推奨されている昨今、就業している女性のうち何割くらいが派遣やパートを選択しているのでしょうか?

平成30年の総務省による「労働力調査(女性の就業希望者の内訳」)を見てみましょう。

平成30年総務省「労働力調査(女性の就業希望者の内訳」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-09.html
女性の就業希望者の内訳(平成30(2018)年)

就業を希望する237万人のうち、実に7割程度の女性が、非正規雇用の派遣やパートを希望していることが読みとれます。もちろんその中には、育児や介護などさまざまな事情により毎日フルタイムで働くことが難しく、止むを得ず非正規で働く人も含まれています。

結果として、多くの女性が選択肢として選んでいるのが実情です。

正社員と比べた派遣・パートのメリットとは?

女性が正社員雇用ではなく、派遣・パートを選ぶと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

大きく分けると、3つの意見が出てきます。

  1. ライフイベントに合わせやすい
  2. 責任の大きい仕事を任されることが少ない
  3. 残業時間、就業時間の規定がある

これらを順番に説明します。

ライフイベントに合わせやすい

派遣・パートの女性にとって、仕事の融通が利かせやすいのは最大のメリットと言えます。先の総務省の労働力調査によると、非正規雇用を選んだ理由の1位は「自分の都合の良い時間に働きたいから」でした。

現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員の内訳
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf

派遣・パートでは、自分の希望の就業時間に合わせて短時間勤務のみの職場を選ぶことができます。事前に相談すればあらかじめ考慮してくれるところも増加し、急なお休みにも快く対応してくれる職場が多いです。

妊娠・出産前後の時短勤務や、子どもの就園などで夕方までのフルタイム勤務などが選択できるのは派遣・パートならでは。ライフスタイルに合わせて無理なく働きやすいです。

責任の大きい仕事を任されることが少ない

正社員と派遣・パートでは、職場において求められている役割が変わってきます。派遣・パートが求められているのは、「仕事を正確に遂行する」ことです。

もちろん任された仕事の範囲の中で、クオリティを高く、自主性をもった活躍などが要求される場面はあります。しかし、範囲を超えた業務はあくまで正社員の仕事です。

一定の枠の中できっちり働きたい人にとっては、派遣・パートはおすすめの働き方と言えるでしょう。

残業時間、就業時間の規定がある

派遣・パートは、規定の就業時間がはっきりと決まっており、残業しての業務は推奨されていないのが一般的です。定時になれば、負い目なく帰宅できます。正社員の場合だと、1日の決まった仕事量が終わっていないなら、帰宅が難しいケースもあります。

定時で退社ができるのは、家庭も仕事も両立したい女性には嬉しいところです。

正社員と比べた派遣・パートのデメリットとは?

正社員と比べた派遣・パートのデメリット

女性にとっていいところが多いように思える派遣・パートですが、デメリットもあります。次は、派遣・パートのデメリットについて見ていきましょう。

成長する環境は整っていない

CA時代にフルタイムで忙しく働いていた女性は、数々の困難を乗り越えながら、経験やキャリアを積んで勤めてきたことでしょう。中には管理職に就いた人もいるかもしれません。

派遣・パートの場合、キャリアを積むというよりは、一定の仕事を淡々とこなしていきます。職場を自己成長の場として捉えているなら、ギャップを感じてしまうかもしれません。

ただし派遣であれば、派遣社員として入社後、「正社員登用制度」を設けている案件もあるので、今後もしっかり働きたいと考えるなら、派遣元に尋ねてみるのもおすすめです。

福利厚生や賞与は期待できない勤め先がほとんど

正社員とは違い福利厚生も限りがあります。また、賞与や退職金は期待できず、正社員よりもかなり少ないことがほとんどです。

厚生労働省の「平成 29 年賃金構造基本統計調査」によると、正社員と比べて年収額は100万以上下がってしまいます。

厚生労働省「平成 29 年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2017/dl/13.pdf
厚生労働省・平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況 図の6:雇用形態、性、年齢階級別賃金より抜粋

仕事自体へのモチベーションの維持が難しい

派遣・パートで新人として入社した場合、正社員のように育成に時間をかけることはありません。それを感じ取り「なんでここにいるのだろう」、「私じゃなくても、誰でもいいじゃないか」と、仕事にモチベーションを持ち続けるのが難しくなる女性もいます。

そのため、「お金をもらうためにやっている」と、ある程度割り切った考えを持つことも必要です。

派遣とパートの5つの違い

派遣とパート5つの違い

ここまでは、正社員と派遣・パートの働き方を比べてきましたが、派遣とパートはどのように違うのかも知りたいですよね。

以下の5つについて解説していきます。

  1. 雇用主
  2. 就業期間
  3. 仕事の評価
  4. 職場でのコミュニケーション
  5. 就業時間

大きな違いは「雇用主」にある

派遣の雇用主は「派遣会社」、パートの雇用主は「勤め先」です。この違いによって大きく変わってくるのは給与の支払い経路や、トラブルが起きた時に対処してくれる対象となります。

派遣の場合は、派遣会社の規定にのっとり給与は契約会社から支払われます。また、同じく何かしらのトラブルが起きたとき、派遣が相談するのは「派遣会社の担当者」になります。

雇用先で何かあっても先に相談するのが派遣になるため、直接的な交渉や話し合いが面倒な人には派遣がおすすめです。そういった遠回りなやりとりが面倒に感じる人は、パートがおすすめと言えます。

派遣は有期雇用が基本

雇用期間については、派遣は「有期雇用」、パートは「無期雇用」となります。派遣の案件の中には長期契約案件もありますが、大体は2〜3か月更新が一般的です。更新のタイミングで「派遣切り(派遣期間が終わる前に、派遣契約が打ち切られること)」に合うのも可能性がないわけではありません。

仕事の評価にも差がある?

パートは直接的に雇用されているため評価されやすく、時給アップも比較的早く期待できます。人手不足などを理由に、なるべく良い評価をすることで長期的に勤めてもらうのを狙いとしています。

派遣社員は、時給アップは派遣元や派遣先の都合により変わってきます。しかし、パートに比べるとスタート時給が高めに設定されています。事務やコールセンター、デパートの接客など、一定のレベル以上のスキルを求める職種に多いでしょう。

働いているときの周りとの距離感にも差がある?

就業中、有期雇用の派遣はあまり周りに馴染めない場合があります。受け入れを行う派遣先の企業も「すぐ辞める人」という認識があり、必要最低限のコミュニケーションしか取って貰えないことも。「派遣さん」と名前すら呼んで貰えないような職場もあります。

派遣先が複数の派遣社員を雇用している場合、派遣同士で自然と仲良くなることもあります。ただし、職場や社員に馴染めるかと言えば、また別かもしれません。

派遣とパートの就業時間の差とは?社会保険の加入条件の違い

上限となる就業時間に変わりがなくても、就業時間によって社会保険に加入できるかです。

派遣社員は、2か月以上の雇用契約を一つの雇用先としていれば健康保険に加入できます。就業時間に決まりはなく、仮に週3日出勤でも派遣社員であれば保険に加入が可能です。

一方パートの場合、社会保険に加入するには次のような条件が決まっています。

  1. 週に20時間以上の勤務
  2. 月額88,000円以上の賃金
  3. 1年以上の雇用が見込まれる
  4. 学生ではない

※2019年12月の情報です。

将来もらえる年金額にも影響するので、社会保険の有無についてはしっかり確認しておきましょう。

女性だからこそ派遣・パートの選択肢も視野に入れるのは重要

CAのキャリアの延長で、正社員としてのセカンドキャリアを考えている女性も多いでしょう。働き方改革や女性の社会進出により、女性だからといって管理職になれないのも昔の話です。今後もフルタイムで働くのも素敵ですよね。

派遣・パートは正社員になるのが難しい場合だけ考えるのではなく、自分のライフスタイルに合致するなら、初めに選択するのも間違いではありません。

職場や働き方は、それぞれのメリットやデメリットを知ったうえで、人生を豊かにするために何に重きを置くかで選んでみましょう。

この記事の監修者


CAキャリアスクール事務局

エアラインスクールを通じて「CAになる」ための就職支援と、CA経験を生かして新たなフィールドで活躍する「セカンドキャリア支援」を行っています。接遇チェッカー、インストラクター、講師を目指したい人の養成講座も実施しております。

ブログ一覧を見る