CA Interviews
CA経験者インタビュー01 CAから接遇インストラクターへ
世の中に素敵な女性を増やしたい!
CAからエアラインスクール講師へ転身
菊田 由起子Yukiko Kikuta
出身 | :JAL(日本航空) |
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現在の仕事 | :エアラインスクール講師 |
大学卒業後、日本航空(JAL)へ入社
約10年間国内線・国際線を中心に乗務し、客室責任者の資格を取得し新人育成に携わるとともに、メディア広報担当CAとして、JALのPR業務を担うなど幅広く活躍。
退職後は、「CAの卵」を育てたいという想いからエアラインスクール講師に転身し、毎年CA内定者を誕生させている。現在、エアラインスクールCAコンシェルジュ東京校専任講師。
現在、主に行われている仕事について教えてください。
エアラインスクールCAコンシェルジュ東京校にて専任のエアラインスクール講師として活動をしています。
エアラインスクール講師として、CAやグランドスタッフを目指す大学1~3年生を対象に、大きく2つのコースを担当しています。1つ目は、ビジネススキル、マナー、第一印象UP、話し方などを身につける約2か月間(週1回2時間)のベーシックコース。2つ目は、就職活動での面接対策に特化した集中レッスンを行う約6ヶ月間(週1回2時間)のアドバンスコースです。
CAを辞めてから現在までの経歴について教えてください。
大学卒業後、大手日系航空会社にCAとして入社しました。国内線・国際線を中心に6年ほど乗務し、その後、産休・育休を合計4年ほど取得。復職後は、深夜業務のない部署に異動し、引き続きフライト業務に従事しました。
約15年間の在職期間中には、客室責任者の資格を取得し新人育成に携わったり、メディア広報担当CAとしてPR業務も経験しました。CAの仕事が大好きで、ずっと続けたいと思っていましたが、家庭と仕事の両立について悩む部分もあり、最終的に退職する道を選びました。
退職後しばらくは、専業主婦として過ごしていました。しかし、1年ほど経過したある日、知人から、私の住んでいる関東エリアでエアラインスクールを開校予定だと聞いたのです。「CAという素晴らしい仕事を世の中に広げたい。CAの卵を育てたい」という思いが、私の中で沸々と湧き上がってくるのがわかりました。講師業は未経験でしたが、子どもも大きくなり、生活に時間的な余裕も出てきたので、「是非やらせてほしい!」と、この世界に飛び込みました。最初は1日1コマのレッスンから始めて、今では東京校の統括を任されるまでになりました。講師業を始めて、今年で4年目になります。
CA時代と比べて、ライフスタイルはどのように変化しましたか?
子育てをしながら夫婦共働きを無理なく継続していくには、家族の協力が不可欠です。私たち夫婦の場合、双方の両親には負担をかけず、ベビーシッターなどの外部リソースも頼らず、夫婦の力で育児と仕事を両立していくことに決めました。夫は多忙でしたが、私がフライトで早朝から深夜まで家を空けるときには、家事・育児ともに担当してくれていたので、本当に感謝しています。
しかし、その生活をしばらく続けていると、私の中で心の変化が生まれました。私の勤務スケジュールは月末近くにならないと明確にならないこともあり、夫はそれを見てから自分の仕事を調整しなければなりません。夫の仕事もそこまで融通が利く職種ではなかったため、夫への負担が少しずつ増えているように感じました。また、1回のフライトは早朝から夜遅くまで続くため、子どもが起きる前に出社し、寝た後に帰宅する生活。子どもの顔が見られない日があることに、心苦しさを感じるようになったのです。
もちろん、CAとしての仕事自体は充実していたので、簡単に手放す気はありませんでした。ところが、その思いとは裏腹に、「家族との時間をもっと長く持ちたい」とも思うようになったのです。この生活スタイルをこのまま続けていくのか夫婦で何度も話し合いを重ねた結果、子どもが小学校に上がるタイミングで退職することにしました。
現在のエアラインスクールの講師業は、平日3日ほどの出勤です。勤務時間は9~16時で、子どもが学校に行っている間だけ働いています。土日祝が休みになったのは、CA時代と比べると大きな変化です。家族のスケジュールに合わせて仕事を調整することも可能なので、今の私の働き方には、家族も私も満足しています。
現在行われている仕事のやりがいや魅力はどのようなところですか?
エアラインスクール講師は明確な資格があるわけではないので、最初は自分が教えられるか不安でした。しかし、CA時代の経験を自分の言葉で丁寧に伝えていけば、生徒たちに新たな気付きを与えることができ、実際に生徒のCA内定にもつながります。「誰かの役に立っている、必要とされている」と直接感じられる、とてもやりがいのある仕事です。
スクールのレッスン項目の中でも、私は特に、CAに必須の「おもてなし」精神、すなわち接遇面の指導に力を入れています。スクールに通い始めたばかりの生徒だと、相手の様子や周りの状況を見極め、相手を思いやる言葉をかけるというステップが、まだまだ発達段階です。ですから、私も生徒の性格を意識しながら心を込めてアドバイスします。そうすると、生徒の接遇に対する思いも変化してきて、就職活動を開始する頃には、相手への思いやり、おもてなしの心も大きく育っています。生徒の就職内定率が現在も100%をキープできているのは、生徒達の努力の賜物です。内定後、家族でスクールに報告に来てくれる生徒や、制服を着た写真を送ってくれる生徒も。「この仕事をやって本当に良かった」と心から思う瞬間です。私自身、生徒と一緒に講師として成長させてもらっているので、感謝でいっぱいです。
その他、CAコンシェルジュで講師をすることの良さの1つに、少人数制が挙げられます。1クラスあたり5人前後のため、生徒との距離が近く、講師として生徒1人1人の成長をしっかりとサポートできる点が魅力です。また、CAコンシェルジュには福岡と東京に拠点があり、双方の講師でオンライン会議システムを使って週に1度情報交換をしています。他の講師からの学びも多く、自分自身、講師としてスキルアップする場も提供いただいていることに、大変満足しています。
今後のキャリアプランはどのように考えていますか?
私の夢は「世の中に素敵な女性を増やす」ことです。
エアラインスクール講師として未来のCAを育てる仕事をしていますが、スクールで教えている「おもてなしの心」は、CAに限らず、どんな場面でも生かすことができます。相手が笑顔になれば、自分自身の心もより豊かになり、活気のある人生を過ごせるようになります。笑顔の連鎖を生み出すことができる素敵な女性を育てるという意味で、エアラインスクール講師というキャリアは、私の理想に最もマッチしていると感じます。これからも講師として、多くのCAを誕生させたいです。
自分のライフプランとしては、今後も家族を第一に、子どもの成長にあわせて家庭と仕事のバランスを取りながら、自分のCAとしての経験を社会に還元し続けていきたいと考えています。
これからのキャリアを考えているCA経験者の方へメッセージやアドバイスをお願いします。
私自身、CAは天職だと思っていたため、出産後も働き続けました。それは、フライトを心待ちにしているお客様のため、責任感を持って仕事に従事する日々に喜びを感じていたからです。その後、家族との時間を優先するため退職を選びましたが、今、エアラインスクール講師として未来のCAを育てる仕事に巡り合えたのは、運命だったのかもしれません。私にとって、新たな天職です。
もし、あなたが今後のキャリアに悩んでいるなら、まずはご自身の夢を描くことからはじめてみてください。その夢とCAとしての経験を掛け算してみたとき、あなたが進むべき道が見えてくるでしょう。
私はスクール講師の道を選びましたが、これほどCA時代の経験をそのまま生かせる仕事はないと思います。現役時代の1つ1つの成功・失敗体験から学んだことを、未来のCAに託せる。熱意に溢れる生徒たちと向き合う時間は、私にとってかけがえのない時間になっています。まるで自分に新たな子どもができたような感じです。
このインタビューをきっかけに、CA後のセカンドキャリアとして、エアラインスクール講師もあるのだということを知っていただけたらうれしいです。CAとしての経験は1人1人違います。その貴重な経験談は、多くのお客様に愛されるCAを育てる糧となります。いつか、CAコンシェルジュで新たな元CA講師の方と一緒に働ける日が来ることを、私も楽しみにしています。
※参考:エアラインスクールCAコンシェルジュ
https://ca-concierge.net/