最高の接遇で働き手も顧客も幸せに。
接遇コンサルタントとして充実した日々を過ごしています

乾 裕子Yuko Inui

出身 :JAL(日本航空)
現在の仕事 :接遇コンサルタント

大学卒業後、JAL(日本航空)にて客室乗務員として勤務。ファーストクラスのお客様対応、チーフパーサーを経験し、新人育成トレーナーも担当。

退職後、エアラインスクールを設立し、未来のCA人材を育成。同時に、総合病院、クリニック、歯科医院、調剤薬局の接遇改善を行う研修講師・接遇コンサルタントとして活躍中。

現在、主に行われている仕事について教えてください。

医療機関向けのマナー・接遇研修サービスを提供するCAキャリアにて、代表講師および接遇コンサルタントをしています。

講師業としては、大学病院などで数百名に向けて接遇に関する講座を実施。コンサルタント業としては、九州地区の大手総合病院・個人クリニックを始め、近年では大手自動車販売店のショールームなどにも伺い、接遇方法をスタッフの方々に現場で直接指導しています。

その他、CAを目指す方のためのエアラインスクールCAコンシェルジュでは校長およびトップアドバイザーとして全体統括を行い、専門学校や大学などの教育機関では非常勤講師として登壇させていただいています。どの仕事もやりがいがあり、私にとって大切なものばかりです。

CAを辞めてから現在までの経歴について教えてください。

大学卒業後、大手日系航空会社でCAとして乗務しました。仕事に全力で向き合った結果、1年目から評価をいただき、早い段階でファーストクラスのお客様対応、チーフパーサーを経験。新人育成トレーナーも担当しました。チームビルディングの大切さや、人の成長を支援することの楽しさも学びました。

そして、CAとしての経験を積めば積むほど、「これほど素敵な仕事なので、より多くの方にこの魅力を知ってもらいたい。将来のCAを育てるエアラインスクールを立ち上げたい」と思うようになりました。

航空会社に入社後は関東を拠点に生活していましたが、結婚後、九州へ転居することになりました。CAを継続するのが物理的に難しい環境となったため、退職するタイミングで以前から思い描いていたエアラインスクール開校への準備を始めます。

調べてみると、当時、地方には生徒たちと講師の距離が近い密着型のエアラインスクールが少なく、九州からのCAの内定率もあまり高くはありませんでした。「せっかく魅力的な仕事なのに、もったいない。自分が理想とする新たなスクールを立ち上げ、九州でCAを夢見る方の力になり、素敵な女性を育てていきたい」と考えました。そこで、「少人数制で手厚い指導」をコンセプトにした、今までにないエアラインスクールをオープンしたのです。

その後、エアラインスクールが軌道に乗ってきたこともあり、CAとしてのマナーや接遇スキルを一般事務職や秘書向けにアレンジしたマナー教室(のちのCAキャリア)も開始しました。

すると、ありがたいことに口コミが広がり、看護協会様から「看護師向けに接遇やおもてなしに関する講演をしてほしい」とお問合せをいただきました。1,000人規模の看護師の方々を前に講演をさせていただいた結果、大変好評をいただくことができ、そこから現在の主な仕事である医療機関(病院・クリニック)向けのマナー・接遇サービスの提供へと繋がりました。

医療機関では、最初は受付スタッフ向けの接遇研修を実施することから始まりましたが、院長先生から患者様への思いや経営理念などを聞くうちに、「その理念を院内に浸透させ、医療スタッフにそこで働く意味や喜びを感じてもらいたい。その先に患者様にも喜ばれる病院・クリニックが存在する。そのために必要なお手伝いはすべて行いたい」と思うように。病院側からも受付スタッフだけでなく医療スタッフや医師向けにも指導してほしいとご要望をいただきはじめたことから、接遇面だけでなく、器材の配置や医療スタッフの導線づくり、部下の育成、採用計画などについてのアドバイスも開始しました。接遇講師から一歩進んだ「接遇コンサルタント」として、病院経営をトータルに支援させていただくようになったのです。

ひとつひとつの仕事に真摯に取り組んだ結果、今では九州・山口を中心とした150以上の医療機関・のべ3,000人以上を対象に、接遇研修・接遇コンサルティングサービスを提供するまでになりました。ありがたいことに、医療機関以外のサービス業界からの依頼やご相談も年々増加しています。

CA時代と比べて、ライフスタイルはどのように変化しましたか?

CA時代は、目の前のお客様に行き先の魅力を伝える観光大使のような仕事をできることに喜びを感じていました。とても充実した日々を過ごす中で、自分の興味は「CAとしての仕事の魅力を伝えたい。CAとして働いている人を笑顔にしたい」と自然に変化していくのがわかりました。

それまで関東をベースに乗務をしていたため、物理的にCAを続けるのが難しいという面も追い風となり、転居を機にCAを退職し、新たな夢の実現に向けて起業することにしました。

CA時代もお客様のために最善を尽くす努力をしていたので、エアラインスクールやマナー・接遇研修のクライアント様に対する向き合い方も、ライフスタイル含め、ほとんど変わっていません。

子どもが生まれたあとも、家族と協力しながら家庭と仕事を両立しています。
何よりも、自分と同じように講師業にやりがいを持ち、人材育成・教育という仕事を通して輝くスタッフが増えることが嬉しく、一緒に仕事を行える環境に感謝をしております。

現在行われている仕事のやりがいや魅力はどのようなところですか?

CA時代、最高の接遇をお客様に提供してきた自負があり、CAの魅力を伝えるためにエアラインスクールおよびマナー教室を開校しました。すると、CAの接遇の素晴らしさに医療機関の皆さんが気付いてくださり、今の接遇コンサルタントの仕事まで繋がりました。今では他業界や遠方からのお問合せも増え、接遇のプロとして、3,000人以上の方々と交流させていただけるようになったのが、この仕事を始めて良かったと思う魅力のひとつです。CAのスキルは、他業界にも求められている大変価値のある仕事だと気づきました。
実際、私も接遇コンサルタントとして、ある総合病院の現場に5年前から継続的に入っています。500人を超える医療スタッフの方に指導させていただくなかで、院長先生の思いを踏まえ、どのように医療スタッフにその理念を浸透させ、目標設定していくか。そして、接遇面も含め、患者様に安心を与えられる行動に変えていくか。それらを意識しながら動くようにしています。信頼関係がすべてですので、病院内で働くスタッフには定期的にヒアリングも行い、本人の思いも尊重しながら、接遇を指導していきます。その結果、医療スタッフ全体のモチベーションも上がり、接遇がどんどんレベルアップしていくのがみえます。また、患者様からの声として以前よりお褒めの言葉が増えたと病院から感謝される機会も多くなり、そのたびに私も「研修講師・コンサルタントとして関わらせていただいてよかった」と、やりがいを感じます。私自身もクライアント様とともに成長させていただいているので、本当に感謝しています。
その他、CAキャリアでは、研修などを担当する接遇講師や、クライアント様の現場に入って直接指導する接遇インストラクターの養成にも取り組んでいます。講師・インストラクターになる元CAの皆さんは、今まで講師としての指導経験があるわけではありません。そのため、私が実際に指導している姿を見せながら、指導法を学び取ってもらいます。クライアント様の要望を踏まえ、自分で指導プランを計画、それに則りクライアント様へ指導を展開していく。その一連のフローをともに経験しながら、講師・インストラクターとしてのスキルを向上させていきます。数か月後、彼女たちが独り立ちし、現場で活躍している姿を見ると、とても感慨深いです。

今後のキャリアプラン(ライフプラン)はどのように考えていますか?

CA時代は、とにかく仕事が楽しく、毎日やりがいをもって乗務していました。そして、今は接遇講師・接遇コンサルタントとして、CA時代の経験をフルに生かしながら、直接のクライアント様、そしてその先のお客様にまで笑顔を届ける仕事をしています。気持ちのよい接遇により、誰もが幸せになる世の中を創るべく、今後も貢献していきたいです。

もちろん、私自身、今後も接遇講師・コンサルタントとして、クライアント様の目標達成に向けて努力していくというのが、私の1つ目のキャリアプランです。それと並行して、CAをやむなく退職した方へ、第2の活躍の場を今よりももっと提供していきたいと思っています。

CAを経験された方には、おもてなし精神に溢れている魅力的な方が多く、私も現役時代に幾度となく仲間に助けられました。だからこそ、新たなキャリアを模索している現役・元CAの方には、自分がもっともっと輝ける場があるのですよ、ということを伝えていきたいです。

接遇という大きなテーマで考えれば、CA以外でもそのスキルを必要としている企業・団体はたくさんあります。すなわち、CAとしてのスキルがあれば、全国どこでも自分の好きなところで働けるのです。

ですので、今後は福岡以外の拠点で生活している元CAの方々のために、日本中どこでも活躍できる仕組みを作っていきたいです。

これからのキャリアを考えているCA経験者の方へメッセージやアドバイスをお願いします。

CAとしての経験を生かせる場は、キャビンの中だけではありません。もし、何かしらの理由でCAを辞める必要があったとしても、ぜひその経験は新たなステージで世の中のために生かしてください。接遇講師・接遇コンサルタントは、その1つの手段です。

「結婚・出産後、やむを得ず仕事を辞めることになった」「今の生活になんとなく満足できていない」あるいは「今の自分に何ができるのかわからない」と悩んでいる人がいましたら、ぜひCA時代の経験を振り返ってみてください。もし「接遇が楽しかった。チームビルディングの重要さがわかった。とにかく、CAはやりがいがあった」と感じるなら、きっと接遇講師・接遇コンサルタントの素質が備わっていると思います。

今、私はCAキャリアでまさに元CAの接遇講師・接遇インストラクターたちと一緒に仕事をしています。CA時代の仕事への思い・熱意をそのままに、毎日一緒に切磋琢磨しながら働いています。バックグラウンドが一緒で、現在の仕事の同僚でもあり、ママ友でもある同志たちは、私にとってのかけがえのない一生の宝物です。

もし、CAを退職してから期間が空いてしまったとしても、セカンドキャリアはいつからでも再始動できます。あなたがCA時代に培ったスキルは、決して色褪せません。ぜひこれから社会のために還元していきましょう。あなたが輝ける場は、まだまだたくさんあります。

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