CAから研修講師へ!人材育成の仕事をしたい女性が身につけておきたいスキル
事業を長期的に営む上で欠かすことのできない人材育成。特に近年、サービス業界では、経営施策の一つとして顧客満足度を高めることに注力。外部の研修講師から接遇やマナー、コミュニケーションの手法を学ぶケースが増加傾向にあります。そして、これらのサービススキルが他の業界と比較して優れている客室乗務員(以下、CA)経験者が、講師として重宝されるようになってきました。
今回の記事では、人材育成に興味があり、将来は研修講師を目指している元CAの方に向けて、押さえておきたい人材育成のステップや、身につけておくべきスキルなどについて紹介します。
企業の発展に欠かせない人材育成
人材育成とは、組織で働く人々の能力を最大化させることです。長期的な視野に立って人を育てることで、将来的には、本人も組織も成長していく姿を描きます。
人材育成には、OJT(現場での実習、on the job trainingの略称)、OFF-JT(現場を離れて行う研修、off the job trainingの略称)、自己啓発(自ら進んで学習すること)の3種類があり、これらをバランスを見ながら実施していきます。外部の研修講師が指導するのは主にOFF-JTの場ですが、クライアントの要望次第でOJTの場に出向く場合もあります。
「人材育成のステップ」とは
人材育成を実施する場合、以下のステップを順番に進めます。
<人材育成のステップ>
① 組織が経営面、人材面で将来目指す姿(ゴール)を明確化する
② 現状、①との乖離がどれくらいあるのか、組織内にてヒアリングなどを行う
③ ②を元に、今後強化すべき点、新規に学ぶべき点などを整理する
④ ③を元に研修内容を組み立て、研修期間、受講対象者を決定する
⑤ 研修を実施する
⑥ 研修の効果を測定する
⑦ ②~⑥を繰り返す
⑧ ①のゴールを達成する
講師は、クライアントのニーズをしっかり汲み取った上で、①~④に取り組みます。⑤で受講生に指導する際には、受講生側の思いも都度ヒアリングしながら、クライアントと受講生の間に存在するギャップを埋めることも必要です。そして、⑥でクライアント、受講生それぞれがどのように成長できているか、アンケートやヒアリングを通して確認し、今よりもより良い状態に持っていくための改善策などを検討します。
研修講師に必要な5つの能力を押さえよう
研修講師に求められるのは、上記の人材育成のステップを着実に遂行していく力です。そのために必要な5つの能力を以下に紹介します。
指導分野において十分な知識と経験があり、自信をもって教えられる
研修講師にとって、「自信を持って指導する」ことは何よりも重要です。講師が自信なさそうに指導をしてしまうと受講生は不安を感じます。研修講師になりたいなら、過去の経験や知識の中で、自分が得意、あるいは好きなことを整理し、その中からセールスポイントを決めましょう。
例えば、「〇〇が好きだけど、知識が不十分で講師になるのは不安」という場合、まずはその分野を学び直しましょう。講師と言えども、最初からすべて完璧に教えられるわけではありません。自分が極めたい分野を決定したら、その分野のナンバーワンになることを目指して、足りない部分は再学習して補えばよいのです。その後、自分の経験と知識に十分自信を持てるようになってから講師としてデビューします。一見遠回りのように感じるかもしれませんが、実は大きなメリットになります。一度その分野で「学び直し」の経験をしているので、講師になった時に、受講生の思いを考慮しながら指導できるからです。
広い視野で物事を考えらえる
研修講師には、クライアント(主に企業や団体)と受講生、そしてその先のお客様という、意識すべき対象が複数存在します。どれかに偏ることなく、常に全体を客観的に見ながら理想の姿へと導いていくのが大切です。
人に分かりやすく伝える力(プレゼンテーション力)がある
せっかく研修講師として素晴らしい知識を持っていたとしても、それを受講生にわかりやすく伝える力(プレゼンテーション力)がなければ、思いは伝わりません。堂々とした態度や凛とした姿勢で、声は大きく、ゆっくりしたスピードで話すのは必須です。
説明時には、できるだけ簡単な言葉や具体例を用いて説明する、ワークシートを取り入れるなど、工夫が必要です。ユーモアを織り交ぜたり、失敗談・経験談を混ぜたりなど、人間味のある研修を心がけると、受講生の印象にも残りやすくなります。受講後、受講生が思わず実践したくなるような、インパクトのある研修を心がけましょう。
受講生の様子を見ながら研修を回す力がある
講師から受講生への一方的な説明に終始する研修ほど、つまらないものはありません。双方向の研修になるよう、上手に舵取りする力(ファシリテーション力)が必要です。受講生の反応を見ながら質問をしたり、受講生同士の会話を促したりなど、研修の場に一体感が生まれるような進行や声掛け(コミュニケーション力)も求められます。CA業務では普段から幅広い年齢層の方と交流しているため、これらの力はすでに備わっている人が多いでしょう。
これらの力を使って研修中に受講生の疑問や不安点を積極的に解消していけば、受講生の研修内容への理解はさらに深まります。
資料作成能力がある
受講生に研修内容を分かりやすく伝えるために、補足資料を準備できるとなお良いでしょう。ワード、エクセル、パワーポイントなど、基本的なパソコン操作スキルがあると、自分の作業スピードも上がります。時間のある時に学んでおくと良いでしょう。
まとめ
人材育成は、組織を成長させるうえで欠かすことはできません。
前半の項目でお伝えした「人材育成のステップ」を着実に遂行していくためには、研修講師として
- 指導分野における十分な知識と経験
- 幅広い視野
- 人に分かりやすく伝える力(プレゼンテーション力)
- 受講生の様子を見ながら研修を回す力(ファシリテーション力、コミュニケーション力)
- 資料作成能力
を備えておく必要があります。
「研修講師には興味があるけど、指導できる立場になれるか不安」という場合は、講師になるために必須である上記のスキルを身に付けるため、自分が受講生として学ぶことから始めてみましょう。その時の経験は、将来研修講師になった時に生きてきます。
人材育成は、人と組織、両方の成長のお手伝いができる素晴らしい仕事です。ぜひ、あなたのCA経験を生かし、研修講師として人材育成に携わってみてください。
この記事の監修者
CAキャリアスクール事務局
エアラインスクールを通じて「CAになる」ための就職支援と、CA経験を生かして新たなフィールドで活躍する「セカンドキャリア支援」を行っています。接遇チェッカー、インストラクター、講師を目指したい人の養成講座も実施しております。